たまには、公衆の面前で。






無邪気






「オレ、何でおまえとキスしたいって思うのかなー」

真顔でそんなことを聞くレオリオ。
そんな彼に、クラピカはもう慣れてしまった。

「なあ、何で?」
「さぁ・・・なんでかな」

正直、こんなことを聞かれるのはあまり好まない。
――何だか遠回しに馬鹿にされているようで。

「おまえはオレとキスしたいって思う?」
クラピカの華奢で柔らかい肩を抱き寄せて、更に質問する。
「さぁ・・・わからない」
いつもどおりの、つれない返事。

「何だよそれー。ちゃんと答えねーとキスしちまうぞ」
「それは困るな」
――そんな訳ない。むしろ大歓迎だ。
・・・なんて、口が裂けてもいえないが。

「ほらほら、あと10秒だぞー。いーち、にー・・・」
そんな彼が可愛くて、思わずクラピカの顔に笑みがこぼれる。
「ごー、ろーく・・」

クラピカは少し顔を桜色に染めながら、レオリオのネクタイを引っ張って、
顔の距離を縮めると、ゆっくりと目を閉じた。

「――では、このまま答えないことにする」

10秒後、2人がキスを交わしたのは朝の騒がしいプラットホーム――



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