人生の終わりって
死?
終わり
「レオリオ」
「・・・」
「・・・レオリオー!」
「・・・・・・・・おーう」
最近
おかしいのだ。
体が思うように動かない。
医者の不養生。
妻からも息子からも仕事仲間からも、ましてや患者にまでそういわれる日々を送ってきた。
体力には自信があるのだが。
「親父どうしたの」
「ん・・・いや」
少し休んだ方が
いいのだろうか。
息子のリンも手がかからない歳になった。
きっとゆくゆくはオレの後を継いでくれる。
この診療所を任せられるようになる。
そうしたら
めいっぱい休もう、今までの分まで。
小さく溜息をついてベッドから出る。
目を閉じたまま眼鏡をかける。
すると、その手を遮るような突然のキスをされた。
「無理をするなと、私は今まで何千回言ったかなレオリオ先生」
エプロンを着たままのクラピカだった。
さっきまで1階にいたのに。・・・いつの間に。
「・・・ああ、わりいな」
「まったくこっちの身が持たないのだよ」
クラピカは窓際のデスクのたくさんの書類や本に目をやって呆れたようにそう言った。
その後ろをリンが慌ただしくスーツを着ながら通り過ぎる。
いつもの朝の風景。
「なんか・・・最近腰が痛くってさ」
「老化だ」
「・・・・・そんなにはっきり言わなくても・・・」
やっぱり年はとりたくねえなあ。
独り言のようにそう呟く。
するとクラピカはこう言った。
「安心しろ、おまえがボケても寝たきりになっても、私がつきっきりで介護してやる」
その言葉に
オレは素直に喜べなかった。
老いる体と
容赦なく流れていく時間。そして周り。
しかしそれでいいと思い始めた。
大切なことは一つしかない。
こうして共に生きてこられて幸せだったと
笑顔で言いたい。
この生涯を終えるとき
いつもと変わらず君がそばにいてくれれば。
2009/04/02
最後の108話。
「終わる」時も、そばにいられれば、と思います。
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