だってオレもう16歳だもん。





キャンディー





大きくつりあがった猫のような瞳は彼の大きな特徴だった。
ふわふわの銀色の髪も白い肌も、出会った頃と変わらない。
変わったのは声と、身長。


「クラピカはさあ、アイツのどこがイイわけ?」

とある喫茶店。
銀髪の少年―――いや、青年は棒付きキャンディーを口の中で転がしながら力なくそう呟いた。


「なんだいきなり」
「べっつにー。だってオレもう16歳だしー大人だもん。気になるじゃん」

出会った頃と変わらずペロペロキャンディーを好む大人か。
クラピカは苦笑して残りのコーヒーを飲み干す。


「レオリオなんかさー、オヤジだし、スケベだし、バカだし、老けてるし、がに股だし」
「ひどい言われようだな」
「だから気になんじゃん。オレほんとにびっくりしたよー二人のこと知ったとき。なあゴン?」
「そう?オレ、二人とも仲いいなあって思ってたけど」
「あっそ」

ゴンはオレよりずっと大人だ。
こうして成長して、よりいっそうそう思うようになった。
なんか知らないけど女が寄ってくる。・・・なんでだ。


「で?どこがいいの?」



店のドアが慌ただしく開く音がした。
「なぁねえちゃん!!金髪の超かわいい女の子来てる?どこ?」
「えっ・・・あ、あの、2階の窓際のお席に・・・」
「サンキューあとでデートしようねv」



周囲が「なんだなんだ」とざわつくほど2階の席まで響く低い声。どたどたと階段を上ってくる革靴の音。
「・・・来た来たー。店に入る早々ウエイトレス捕まえてナンパする奴なんかレオリオしかいないって」
「わかりやすいよねーレオリオって。ねークラピカ?」
「・・・(恥)」
「で?あーんな奴のどこが好きなわけ?」





「いやーわりぃわりぃ、すっかり遅れちまった」
すらりとした長身にかっちりとしたダークスーツ。圧倒的な存在感。彼がいることで空気が変わる。
レオリオはネクタイを緩めながらクラピカたちの席に駆け寄り、
そう言いながら椅子に座っているクラピカを後ろから軽く抱きしめた。


「・・・こういうところかな」
「なるほどね」
「ん?」
「レオリオはほんとーにクラピカが好きなんだねー」
「お?嫉妬か?10年はえぇっつーの」



なあゴン、オレ達もう16歳。
「オトナ」としてレオリオをちょこっとだけ見習うか?


2009/03/19
キャンディーといったらキルアが浮かびました。

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