幸せをおすそわけ。別に、そういうわけじゃないけど。
たまにはこういう話題もアリなのかなと。
写真
「いーなぁ〜いーなぁいーなぁ〜〜〜、レオリオはいいなぁー。
こ〜〜んなにきれいでかわいい奥さんがいるんだもんなー。かーわいいなークラピカちゃん」
最後の一言にオレはフォークを持つ手を止める。
「ちゃんはやめろ!」
「なんだよ、じゃあクラピカ」
「呼び捨てにすんな!」
「クラピカくん?」
「男じゃねぇ!」
「なんだよ我儘だなー」
さっきからずっとこの調子だ。慌ただしい病院の食堂。短い昼休み。
途絶えない院内放送。目の前には友人二人。
もっとも――外部の人間じゃない。クリスは精神科医、その恋人アリアは看護婦。
2人とも、ベジタリアン。しかも少食。昼食は2人そろってサラダのみだ。
よくそんなんで身体が持つよなと、オレは決まり文句のように言う。
クリスはさっきからずっとクラピカの写真をながめては溜息をついている。
家族3人でとった記念写真。いつも胸ポケットにしまってある。
「3ヶ月だっけ?かわいいなー、赤ちゃんもきれいな金髪でさー」
「・・・・・ちょっとまて、これのどこが金髪だ?」
「いやー、今は黒くてもじきにクラピカちゃんみたいなハチミツ色の髪になるだろうなーって。
だっておまえに似たらかわいそうだろ?」
「・・・ったく、言ってろ!」
クリスの手から写真を素早く奪い取る。
すると今度はアリアが写真を手に取った。まったく落ち着いて飯も食えない。
「ちょっと!彼女の前で人の奥さんべた褒めして・・・
バッカじゃないの?私じゃなかったらあんたなんか即行さよならよ!」
「おい、怒んなよ!こないだ喧嘩したばっかじゃねーかよ!」
「ふん。・・・まぁでも、キレイよね。この・・・クラピカさん?いくつだっけ?」
「25」
「えぇえ!?見えねぇよ!オレには花も恥らう17歳にしか見え・・・っ」
どうにもコイツがいると話が進まない。
お互いにそう思ったのだろうか、オレとアリア、二人分の拳をクリスは食らった。これで少しは静かになるだろうか。
「なんだよ?アリア・・・人の家族の写真じろじろ見て」
「うーん・・・これなら女の私でも抱きたいって思っちゃうかも」
・・・クラピカ・・・。オレの病院では、おまえは一躍人気者みたいです。
2005/10/31
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