ずっとずっと、その腕の中で眠っていたかった。
「おはよう」
「クラピカ起きろよ、もう10時だぞー」
枕に顔を埋めて毛布に包まっている私の耳元で、レオリオが優しく囁く。
本当はもう、とっくに目なんか覚めていた。
「腹減っただろ?せっかくオレが早起きして作った、『レオリオ特製スペシャルブレックファースト』が冷めちまうぞ」
左手で頬杖をついて、右手で私の髪をゆっくり撫ぜながらレオリオは苦笑交じりに、楽しそうにそう言った。
センスのないネーミングとレオリオの口調がなんだか可笑しくて――
私は彼に分からないように、小さく笑った。
ああ、ほんとうに気持ちがいい。
こうしてほどよい眠気に身を任せて
惚れた男にやさしく髪を撫でてもらって
・・・幸せだ。
「今日はゴンとキルアが来るんだぞー。
こんなところ見られちまったらどーすんだよ。・・・って聞いてる?おまえ」
反応がない私の頬を、長い指で小さくつつく。
「・・・・くすぐったいよ、レオリオ」
指先から温もりが伝わってきて思わず身を捩った。
「何だよおまえ起きてんじゃねーか。狸寝入りしやがってー」
と、レオリオはふざけて私に覆いかぶさる。
素直に嬉しかった。
「2人がくるのは午後だろう?まだ10時なのだよ」
「まーそうだけど」
「ならいいじゃないか」
私がそう言うと、レオリオは「しょーがねーなぁ」と笑った。
その笑顔が
好き。
こうして顔に、体に触れるときもまるで宝物を扱うように優しく、優しく触れてくれる。
「・・・そろそろ起きることにする」
まだ、起きたくなかった。
「お?なんで?」
ずっとこのまま、こうしていたい。
「早くおまえの料理が食べたいから」
だから、起きることにする。
「・・・おはよう、レオリオ」
またおはようって言って、また夢を見せて・・・って口ずさんじゃう。
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