もっともっと一緒にいたい。
もっともっと近づきたい。
時間なんて、場所なんて
関係ない。
任務
「わりぃ、今日仕事だ」
「すまない、どうしても休めないんだ」
「しょーがねーだろ、仕事なんだから」
「仕事が忙しいのだよ」
最近のオレたちの会話は、こんなんばっかだ。
顔をあわせて、会話をする。
そして必ず出てくる単語が、「仕事」がどーの「ボス」がどーのこーの、
とにかく「仕事」に関する話題なんだ。
これでもオレたちは一緒に住んでいる。
だからといって、毎日一緒にいられるわけじゃない。
クラピカはうちに帰ってこない日の方が多いし、オレも病院でよく寝泊りする。
病院により近い家に引越しても、あまり意味は無かった。
・・・
ある日の帰り道。今日は久々に家に帰れる。
そんな、少しだけおめでたい日。
でも、それ以上に何倍もおめでたいことがある。
オレは、走っていた。
流石に白衣は脱いできたが、勤務時間が終わると同時に、病院を飛び出してきた。
その「おめでたいこと」のために。
・・・
「・・・・・もしもし、レオリオ?私だ。ちょっと・・・久しぶりだな。
今日はな、家に帰れるんだ。うん・・・そうだな、一週間ぶりだな。
・・・・・その・・・あのな、・・・・早く・・おまえに逢いたい」
24時間ぶりのラブコール(クラピカからの電話は全てラブコール)が――
昼休みにケータイにかかってきた。
偶然、この日は切羽詰った仕事もなく――
一分一秒でも早く家に帰りたかった。
・・・
橋を渡って、坂を上って、見えてきた我が家。
急ぎすぎたのか、体力がおちているのか――
家の窓が見える頃には、息が上がっていた。
立ち止まって、ゆっくり呼吸を整える。
「――レオリオ!」
上から聞こえた聞き慣れた声に、パッと顔をあげる。
すると、2階の窓から身を乗り出してこちらを見ているクラピカの姿。
久しぶりに見たその姿がとてもとても愛しく思えて――
胸がいっぱいになるのを感じながら、クラピカに声をかける。
「・・・・早かったな、おま―――って、なっ・・・」
窓の桟に足をかけたかと思うと――
何と、飛び降りた。
いや――オレが抱きしめたいと思ったものだから、
抱き寄せた、というのが正しいのだろうか。
まるで全てが計算されたかのような、オレたちの動き。オレは見事クラピカを抱きとめた。
でもやっぱり突然の事態に、受け止めた瞬間、クラピカもろとも後ろに派手に倒れこんでしまった。
――庭が芝生で助かった。
久しぶりに抱きしめる華奢な体や甘い香り。
髪が鼻に当たって、少しくすぐったかった。
その全てを確かめるように、倒れこんだまま強く強く抱きしめた。
「ばーか。・・・何やってんだよ」
「・・言っただろう?早く逢いたかったって・・・」
「・・・・ああ。ただいま。んでもってお帰り、クラピカ」
「ただいま。――お帰り、レオリオ。」
クラピカは嬉しそうに微笑むと、「好き」といって、またオレを抱きしめた。
そんな彼女を、オレはまた強く抱きしめ返した。
リア充ばくはつしろと申し上げたい。身体能力化け物級の二人にしかできませんね、これは。
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