窓
朝日がまぶしい日曜日の朝。
二人はまだベッドの中。
「・・・レオリオ、そろそろ起きよう」
「・・・・ん、・・・びっくりした、目の前にかわいい天使がいる」
「な、なにを言う」
目がさめて、隣に愛する人がいる。
手を伸ばせば触れられて、名前を呼べば笑ってくれる。
きっとこれほどの幸せはない。
レオリオは眠そうに目をこすりながらクラピカを抱き寄せる。
「ん〜、あったけえーきもちいー」
「そ、そりゃあ・・・お互い、その・・・裸のままだし・・・」
昨夜もそのまま眠ってしまった。
だからシャワーを浴びるのはいつも朝になる。
「クラピカの肌は今日もすべすべモチモチだなー」
レオリオは更にぎゅっと力を込めて抱きしめて、頬ずりをしてくる。
「レオリオ、ヒゲが痛い」
「おっと失礼。やらかい肌に傷がついちゃうもんな」
そしてやさしく頬にキスをしてくれた。
「今日は、ずっとオレのそばにいてくれるんだろ?」
毎日一緒にいられるわけではない。
だからこそ、限られた時間の中でこそ、こうして相手を長く感じていたい。
「ああ、もちろんだ。ずっとそばにいるよ」
言葉にして再確認をする。そしてそれを気持ちと共に唇で伝える。
それがとても大事なことなのだと、クラピカはわかってきた。
素直になるところはならないと。そう、思いはじめた。
「レオリオ、そろそろ食事にしよう」
「えー?もう?」
クラピカはゆっくり上半身を起こして辺りを見回す。
シーツで胸を押さえながら。
「・・・なあレオリオ」
「ん?」
「私の服を知らないか?」
思えば
夜はいつもレオリオにみるみるうちに脱がされてしまって、服も下着もばらばらになっている。
「おかしいな、下着がない」
「パンツならオレが持ってる」
「!!」
布団の中からレオリオが取り出した、レースをあしらった黒い下着。
クラピカは素早く奪い取って頭をはたく。
「いたいよピカちゃん」
「うるさい馬鹿者が!まったくなんて破廉恥な男だ」
クラピカはベッドから抜け出してすぐさま下着を身に着ける。
「・・・ん?」
今度は
上がない。
「レオリオ、私の・・・」
「ブラならオレが持ってる」
「!!!」
またもやレオリオが布団の中から取り出した下着をひらひらと靡かせる。
「これかわいいよなー、肩紐のとこのちっちゃいリボンが特にさー。
黒いからよりセクシーに見えるし、やっぱオレが選んだ甲斐が・・・」
バキッ
「・・・っ、おまえ今マジでやったな!?頭割れるじゃねえか!」
「うるさい変態!スケベもいい加減にしろ」
「オレはそんなAカップのクラピカちゃんも好きだぜ」
ゴキッ
レオリオはうつ伏せで枕に突っ伏している。
これでしばらくはおとなしいだろう。
クラピカはベッドに戻り、座ったままブラジャーをつける。
(・・・あれ?)
(おかしい)
(なぜ引っかからない)
クラピカがこのような「女の下着」を身に着けるようになったのは、実はごくごく最近のこと。
これまではずっとサラシを着用していた。
だから、うまく背中のホックが止められない。
・・・そろそろ背中に回す腕もしびれてきた。
消沈しているレオリオをたたき起こすしかあるまい。・・・気が引けるが。
「おいレオリオ、起きてくれ」
「オレはもう瀕死だ・・・起き上がれない」
「お願いがあるんだ」
「・・・んー?」
「あの・・・その、後ろ、止めてくれないか」
レオリオの肩をゆさゆさと揺さぶる。最後のその一言にレオリオは飛び起きた。
「び、びっくりするじゃないか」
「で?なに?」
わかっているくせに
言わせる。
レオリオは悪趣味だ。
「その・・・だから、・・・後ろのホックが上手く出来ないから・・・お願いしていいか」
クラピカは胸元を押さえながら、頬を桃色に染めて小さく呟く。
顔などあげられない。
「はいはい。後ろ向いて」
レオリオは嬉しそうに笑いながらクラピカをそばへ引き寄せる。
クラピカも自分から言った故、おとなしくレオリオに近寄る。
「やっぱいつまでたっても慣れねーなあ」
「すまない」
白くて華奢な背中。こうして間近で見るととてもきれいだ。
そこにぶら下がっている下着に手をかけホックを止める。
「まあ、オレはむしろ嬉しいけど」
「・・・」
もう、なにも言い返せない。
「ところで、オレがいないときはどうすんの?」
「仕方がない。根性で止める」
「なんだよそれ」
後ろを向いたクラピカは無防備な下着姿。
後ろからなら、エッチなオオカミも襲いやすい。
ベッドの上に座っているクラピカに後ろから覆いかぶさるように抱きすくめる。
突然のことにクラピカは驚いて後ろを振り向く。
「ちょっと、レオリオ!」
「なに?」
「なにじゃなくて・・・」
ここまでくればしめたもの。
逃げられないように羽交い絞めにして
耳元で名前を囁けば
一気にクラピカは静かになる。
器用に指を滑らせて、背中のホックを外した。
「・・・ちょっと、なんで」
つけたばっかりなのに。クラピカはそう言いたげに口を開いた。
露になったやわらかいふくらみに手を伸ばし、優しく包み込む。
「またオレがつけてやるから・・・もうちょっとナマチチ触らせてて」
「・・・もう、バカ」
つけるのが彼なら、外すのも彼の役目。
窓を開けて朝陽を浴びるのは、まだ先になりそうである。
2008/08/27
朝からなにやってんだ・・・笑
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