レオリオのようなタイプの男は少ないらしい。




退屈





「おいレオリオ、早く起きろ」
「んー」
「起きろ」

「・・・今日もかわいいなあ」
「は?」
「オレのクラピカは今日もかわいいなあって」


私はいつも思う。
この男、毎日のようにこんなことばかり言って、飽きないのか?
いや・・・私だけじゃない。
一般的に、レオリオのような男はいないのだ。


レオリオから毛布を引っ剥がして寝転んでいる彼を見下ろす。
「おまえの頭はどうかしている」
「なんで」

「口を開いたかと思えばうわついた口説き文句ばかり・・・よくも飽きずに言える」

別に嫌なわけではない。むしろ嬉しい。
ただ本当に不思議なのだ。
毎日のように一緒にいるのに、付き合い始めのカップルのようなやりとりをよく続けられる。
こいつには慣れがないのか。レオリオは二カッと笑ってこう言った。

「オレはそういう男なんだよ。おまえが一番よく知ってるだろ」

・・・確かに、その通りだ。








よく言われる。
レオリオのことを話すと、
「やーねえ、そんな男、いないわよ」
「誇張しすぎよ」

いやいや、現にここにいるのだ。
こういう男が。

かといってレオリオは、私に四六時中べったりくっついているわけではない。
一日中自室にこもって本を読むこともあるし、仕事中はまるで別人。

他人なのだから、相手のことがわからなくなることもあるし、常に優しくなんてできない。もちろんケンカもする。
けれど1日たつと元に戻る。

街を歩くと必ずといっていいほど、いわゆる「ナイスバディ」な女性を見ては鼻の下をだらしなく伸ばしている。
それに気付いて手をつねると、彼はコロッと表情を変えて私の機嫌をとろうとする。

こういうところは普通の男なのに
どこか違う。


一途すぎるのか?
いや、だったら他の女性を見ないだろう。
やはり生まれ持った性格か?
・・・珍しい男だ。
彼は珍種だ。




なんでもない日常。
レオリオは退屈という言葉を知らない。

「クラピカ今日休みだろ?」
「ああ」
「オレもー。久しぶりにいちゃついていい?」
「・・・どこが久しぶりだ」
「1日中おまえと一緒にいられるなんて、久しぶりだろ」

私も、忘れてきた。
退屈、の意味。



2008/11/29
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