クラピカが読んでいる本が気になる。
暇があればいつも本を読んでいる。
やっぱ・・・小難しい内容なんだろうなあ。
しかも毎回違う本。
・・・どんだけ読むの早いんだ?
そして今日も例によって。
読書
「クラピカぁ」
「なんだ」
クラピカはいつものように我が物顔でソファに座って、活字を追っている。
本から目を離さず、レオリオの声にこたえる。
「つまんないよー」
「ならばきみも読書すればいい。ここはきみの部屋だろう」
そう、ここはレオリオの部屋。
休暇中のクラピカが遊びにきていた。
「つれねーのー」
「読み終わったら相手してやる。ちょっと待ってろ」
相手って・・・エッチの相手してくれんのかな?
そんなことを聞いたら、まず顔を殴られてみぞおちに一発くらって、さらに蹴り飛ばされるだろう。
なんたってクラピカはめちゃくちゃ強い。
緋の目になったら、たぶんレオリオより強い。
ああ、考えただけで恐ろしい。
しかしクラピカは今日もかわいい。
夏が近いせいか最近暑い。
だからクラピカもそれなりに薄着だ。
といっても肌を見せたりはしないが。
服の素材が薄くなっただけである。
それでも体のラインがじゅうぶん見え隠れする服なので、それはそれでよい。
なんたって、ワンピースvv
それにしても
最近、胸が大きくなってきたなあ。
やっぱりオレのおかげか?
なんちゃって。
座っていても腰のくびれは綺麗だし
髪の毛はサラサラだし。
はやく抱きてぇなあ。
「レオリオ」
「な、なに?」
やましいことを考えているのがばれたのだろうか。
クラピカの鋭い声に、レオリオは動揺する。
「お手洗いを貸してくれ」
「あ、ああ」
なんだ、驚かせんなよ。
クラピカは本にしおりを挟んで部屋を出て行った。
ふと思い出した。
クラピカの読んでいる本が気になることを。
いい機会だ。
ちょっとだけ見てみるか。
ああでも、やっぱりあのクラピカだもんな。
国文学とか
古文書とか
訳の分からないもんばっか読んでるはずだよな・・・
オレだったら2秒で寝落ちする自信があるぞ。
レオリオはなかばそう思いながら、クラピカの置いていった本を手に取る。
クラピカはいつも本にカバーをしている。だから、表紙が見えない。
几帳面で潔癖なクラピカがしそうなことだ。なんら不思議はなかった。
文庫サイズの小さな本。しおりのはさんであるページを見てみる。
(どれどれー?・・・・・・・んん!??!?)
『男をその気にさせる方法』
どうやらその本はいくつもの節に分かれており、見開きで1つの項目を取り上げているらしい。
それにしても、いったいなんだこの題目は。
レオリオは更に読みすすめる。
『そそるウェア・・・・サマーウールやカシミヤなど、上質な素材は女性の肌を想起させる。「触れたい」と思わせれば勝ち。』
(・・・そ、そういえば、クラピカ、今日はやたら高そうなワンピース着てたよな・・・)
他にもいろいろと細かく書いてあったが、そろそろクラピカが戻ってきてしまう。
ものすごく読みたかったが、抑えて本を元に戻した。
(それにしても・・・クラピカがこんな本を・・・)
予想外だった。
いくら男になれていないとはいえ、レオリオはクラピカのペースにあわせているつもりだった。
でもこんな本に手をつけてしまうほど、不安だったのか・・・。
やっぱり女の子だなあ、とレオリオは微笑ましく思う。
と同時に自らを戒める。
もっとクラピカの気持ちを考えるべきだったと。
まだまだ努力不足だったのだ。――男として。
と、部屋のドアが開く。
クラピカだった。
「お、おかえり」
「・・・なんだ、挙動不審だな」
「そっか?いつも通りだぜ」
クラピカは不思議に思いながらもソファに座り、再び本を読み始める。
男をその気にさせる方法を学ぶために。
「なあクラピカー」
「なんだ」
クラピカは少し不機嫌そうに顔をあげる。
せっかく今読み始めたのに。そういう顔で。
レオリオはこう続ける。
「そっち行ってもいい?」
「・・・え」
「なあ、いいだろ?」
「・・・好きにしろ」
”オレをその気にするために”着てきたのであろうその服。
活躍させてやらなきゃな♪
含み笑いをしながらレオリオはクラピカの隣に腰を下ろす。
2人分のソファでも、レオリオが座るととても狭い。だから、強制的にくっつくことになる。
レオリオはクラピカの肩に手を回して、強引に抱き寄せる。
「ちょ、レオリオ」
「いいじゃん。だっておまえのその服、すべすべで気持ち良さそうなんだもんよ」
見るからに触り心地のよさそうな白いワンピース。
・・・ロングスカートなので、足は隠れてしまうが。
それでもクラピカがスカートをはくのはめずらしい。
レオリオがチョイスしたスカートをしぶしぶはくことはあるものの、自分からスカートをはくことはなかった。
やっぱりその気にさせにきたのかvv
「・・・クラピカ」
「な、なんだ」
「・・・キスしていい?」
「・・・!」
おお、あせってる。
今読んでるページのそのままになったんだから。
でもまあそんな小細工しなくても
オレはいつでもその気なんだけどなあ。
「そろそろオレの相手、してくれよ」
今日はクラピカのかわいい乙女心を汲んであげることにした。
2008/07/26
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