これはオレの主観だが、間違いなく誰もがこう思うはずである。
そんなふうにうぬぼれたって、いいじゃないか。









クラピカを眺めるのは楽しい。
楽しい、といってもおもしろおかしいというわけじゃない。

クラピカを、ちょっと離れたところからずっと眺めているのが好きなのだ。
ときどき場所を移動して、視点をガラリと変えてみるのもまた新しい発見があって新鮮だ。


後姿も綺麗だ。まっすぐ伸びた背中。折れてしまいそうな細い腰。小さな肩と、儚げな影。
肩に少しかかる細い金色の髪がまばらになって、触れたくなる。
動くたびにサラサラといい音をたてて揺れるから、それこそ誘っているかのようで。

ふわっと抱きしめて驚かせたくなる、そんな後姿だ。

どんなクラピカを見ているのも好きだけど、読書中のクラピカは格別である。
いつも広いソファに沈むように座って本を読んでいる。
読書中のクラピカに話しかけても返事はない。
だから、「何を見ている」と訝しげな顔で文句を言われることもなく、ずっと好きなだけ眺めていられる。


大きくて透明感のある淡い色の瞳は、絶え間なく活字を追っている。
表情はまさに真剣そのもの。

その瞳を見ていると、吸い込まれそうになる。
長い睫毛がその瞳に影を落として、よりいっそう美しく見せる。

上から下へと活字を追うその瞳が
突然オレの方を向いてくれないだろうか。
そうしたら迷わず名前を呼んで、近くにいけるのに。


きつくむすばれたうすい小さな唇。
喋るときはあんなに流暢で、よくもまあと思うほど忙しく動き続ける生意気な唇なのに
今は固く閉ざされたまま。

健康そうな薄い桃色で、見るからにぷるんとしているその愛しい唇を
無理矢理にでも奪いたい。

そしたらあいつはどんな目でオレを見るだろう。



ソファは窓際にあって
そこがクラピカの特等席。
ブラインドからちょうどよくやわらかい光が漏れてくる。
そこにいつもクラピカは座っていて
白くてきめ細やかな新雪のような肌が、さらに輝いて見える。
触れたらそれだけで溶けて、壊れてしまいそうなほど。
そのやわらかそうな頬に触れてみたいと思わない男がいったい何処にいる?


オレのあまりの熱い視線に耐えかねたのか、クラピカが照れ臭そうに笑って本を閉じ、オレの隣に来てゆっくり指を絡ませあったのは――
もう少し先の話。


オレはクラピカにこんなにも魅せられる。
もうあの美しさは罪である。
オレはそんな罪深き女に
骨の髄まで溶かされてしまった。




これはオレの主観だが、クラピカを知る人なら
こう思うのではないだろうか?

そんなふうにうぬぼれられるのも
恋人であるオレの特権。



2008/09/26
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