別に、私の方からそう思ったって、いいだろう?
いつもおまえばっかり。
・・・好きなものは好きなんだから。
確信犯
長い指で軽く顎を持ち上げられて、一気に距離が縮まる。
「クラピカ・・・」
大好きな低い声が、酔ってしまいそうな甘い響で名前を呼んでくれる。
真っ直ぐに見つめてくる、澄んだ茶色い瞳。
それだけで――鼓動が高鳴る。
もしかしたら心臓の音が彼に聞こえてしまうかもしれない。
クラピカは無意識に自分の胸に手を当てる。
「・・・レオリオ・・・」
夕食の途中。目の前はソファ。――風呂上り。
条件は完璧だ。
クラピカは自然にそっと目を閉じた。
「口にソースついてるぞ」
「・・え?」
予想外の彼の言葉に
彼女はただでさえ大きな瞳をより大きく見開いた。
「だから、口にソースついてる」
顎に手を掛けたまま、レオリオは真顔で繰り返し言う。
高鳴っていた心臓は一瞬止まりかけ、
桜色に染まっていた頬は血の気が引いて青白い。
「・・・どした?」
硬直したクラピカの顔を、レオリオは不思議そうに覗き込む。
「・・・・・・・っこの・・っ・・バカ!バカバカ!」
クラピカはレオリオの手を振り払って、涙ぐみながら彼の胸をポカポカ叩く。
「おわっ!?な、なんだよ?」
「少しはムードというものを考えろっ!ずっと期待して・・・・っ」
クラピカがはっと気付いたときには、もう遅かった。
(わ、私は何を・・・・っ///)
「それって、俺がキスしてくれるかもってコトですか?クラピカさん」
「ち、違う!何言って・・・・・や、やめろっ離せ!」
再び顔を赤くして、激しく抵抗するクラピカ。
けれど、やっぱりもう遅くて、ひょいっと抱き上げられたかと思うと、
狭いソファに寝かされた。
まだ乾いていない金色の髪が、シャンプーの香りとともにソファに広がる。
レオリオはその甘い香りに誘われるようにしてクラピカに覆いかぶさる。
「レオリオっ、まだ夕食の途中・・・っ」
「こっちが先。いつまでもソースつけてちゃみっともないだろ?
ソースは俺が舐めてやるし、おまえが期待してたコトもちゃんとしてやるよv」
「そ・・・っお、同じことだろう!」
「何?全然違うだろ」
レオリオはそう言いながらクラピカのいかにも甘そうな下唇についたソースを舌で舐め取る。
「やっぱ美味い」
「・・・ばかっ」
――おまえが誘ってきたんだからな?
違う・・違う。おまえが期待させるようなややこしいことしてくるから・・・
一瞬でもときめいた自分に、クラピカは今更後悔していた。
でも、結果的には大成功・・・・なのかもしれない。
ふたりがいちゃこらするのでむしゃくしゃしてお題の趣旨からずれた(やけくそ)
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