愛しくて愛しくて、たまらない。
だから、こんな日くらいは素直になってくれないか――?
たった一つの
「レオリオ、早く来い!」
サラサラの金髪を風に靡かせながら、クラピカが嬉しそうに振り返る。
その姿があまりにも眩しくて・・・オレは思わず目を細めた。
今日は4月4日。クラピカの誕生日。
もちろん前々からプレゼントは用意しておいた。
でもクラピカが喜ぶようなものって何だ?改めて考えると全く分からない。
クラピカは普通の女のコが欲しがるようなものは一切欲しがらないから。
服とか。化粧品とか。やっぱ・・・分厚い本とか?
直接本人にも聞いてみた。
―――私はおまえが傍に居てくれればそれで充分だよ。
・・・可愛いトコもあるじゃねーか。
散歩に行こうと言い出したのはクラピカだった。
今は、満開の桜の木が咲き乱れる河川敷を二人でゆっくり歩いている。
せっかくの誕生日くらい、もっと贅沢言ってもいいんだぜ?そう言った。
―――言っただろう?私はおまえが傍に居てくれれば何も要らないって・・・
こいつはどこまでオレを惚れさせれば気が済むんだ?
クラピカは本当に楽しそうにサクラの木の下を歩いてる。
オレと一緒だから?・・・・なんて、思ってしまう。あんな笑顔、見せられたら。
―――レオリオ!・・・どうしたのだよ、置いていくぞ?
そう言って、足を止めているオレのほうに歩いて戻ってくる。
”・・・おまえがあんまり可愛いからさ、見とれてた”
―――バカ!!
頬を紅潮させて、上目遣いで睨んでくる。そんな可愛い顔で凄まれてもなぁ・・・。
―――ほら、行くぞ!
オレに背を向けて再び歩きだすクラピカ。照れ隠しが見え見えで、不本意にも吹き出してしまう。
だって、あんなに赤い顔してる。
こんなとこで笑ったら、またクラピカの機嫌を損ねてしまうのに。
何でこんなに夢中になるのか。そんなのオレにだってわかんねぇよ。
でも、手放せなくなるくらいに好きってことは確かなんだよな。
お、こっち向いた。
やっぱ何度見ても・・・・可愛いよなぁ・・・オレのお姫サマは。
―――レオリオ・・・手。
振り向き様に差し出される遠慮がちな小さな右手。
―――いいだろう?
恥ずかしそうに顔を逸らす。
”当たり前だろ”
微笑んで、そっとクラピカの右手を握る。嬉しそうに、クラピカははにかんだ。
愛してる。
その気持ちは永遠に変わらない。
世界でたったひとりの、愛する君へ。
――誕生日おめでとう。クラピカ。
2004/04/04 Happy birthday Curarpikt.
雰囲気重視でかいてみました。このレオリオ視点の書き方はけっこう好きです。
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