寒いときは、ぎゅっと抱きしめてくれるから。
私はレオリオと過ごす、あたたかい冬が好き。




帰り道




「へっくしょんっっ」
「・・・汚い」
「すんません・・・」

レオリオは鼻をすすりながら身震いをした。
そんな彼を見ていたクラピカは、バッグから白いハンカチを取り出した。
「ほら使え。またくしゃみをされたら困るからな」



日が沈むのが早くなって――
西の方はもう薄暗い。そろそろコートを着ようか、と人々が声をそろえて言う季節。
二人で買い物に出かけた。二人で並んで歩く、帰り道。


「サンキュ。あー、オレ、寒いの苦手なんだよなぁ」
「おまえにも苦手なものがあるのか」
「あったりまえだろー。オレだって普通の人間なんだから」

「では夏は平気なのか?」
「うーん、それもダメ。オレ暑いの苦手」
「・・・なんだそれは」
「いーんだよ、冬は寒くて夏は暑いのが」

それは矛盾してないか?
言うのはやめた。そんなレオリオの腕に、そっと自分の腕を絡ませる。
彼女にしては大胆な行動だけれど――
レオリオはその意図に気付かない。

「・・・私は、寒いのは好きだぞ」
寒いときは、その体温であたためてくれるから。だから寒い方が好きなのだ。

「あー、たしかにおまえ、冬って感じかも。低血圧だし」
「・・・まったく、わかってないな、レオリオは」
「は?」
――少し、ホッとしたかもしれない。
そんな恥かしいこと、絶対に知られたくないから。

「ほら、早く帰ろう」
不思議そうに顔をしかめる彼を引っ張る。
日が沈む前に家に帰ろう。一緒においしい夕食を作ろう。
一つの毛布で一緒に眠ろう。

――・・・そうだな、今日そのときにでも、おまえの腕の中で、言ってみよう。

私が冬を好きな理由を。



最近めっきり寒いのでこんな話を書いてみました。
人の体温ってあったかいですよね。

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