運命って信じる?




運命




「お〜い、歩くの早ぇよ〜クラピカ〜」
「おまえが遅いんだ、早く歩け!」

情けない声を出して、へとへとのオレにキツイ一喝。
クラピカは草むらを掻き分けてどんどん歩いていく。

華奢な体してるくせに、オレより体力ありそうだし、全くスゴイ奴だ。
4次試験、ゼビル島。オレたちは同盟を組んだ。

「・・・じゃあせめて休憩しようぜ?」
「またか?」
クラピカは不機嫌そうに足を止めて、こっちを振り返る。

綺麗に整った端正な顔。サラサラの金髪。やっぱりクラピカはかわいい。
休憩しよう、と言ったのも、クラピカと話す機会が欲しかっただけ。
なんでかって?
――なんとなくだよ。



「おまえさ」
「・・・・なんだ」

やっぱり無愛想な返事が返ってくる。
だが、怒っている訳でなく、これが普段のクラピカなのだ。
ここ数日の付き合いだけど、それくらいは分かる。

「おまえ、笑ったほうがかわいいよ」
”何をいきなり・・・” クラピカは苦笑して、
「おまえのようにいつもへらへら笑っていても不気味だろう」

・・・またかわいくない事を言う。
「ホントだって。・・・オレ、おまえの楽しそうに笑ってる顔見たことないぜ」

「別にそんなことおまえに関係ないだろう」
いつも警戒心丸出しの冷めた態度。他人を寄せ付けようともしない。

「おまえ、オレのこと嫌いな訳?」
「誰もそんなこと言ってない」
・・・ホント、かわいいくせにめちゃくちゃかわいくない。




「もともと綺麗な顔してるんだからさ、笑ったらもっとかわいいって」
”つーかおまえ、男?女?”
そんな当たり前の疑問は軽々しく口に出来ずにいる。


歩き出した後も、オレはしつこくクラピカに催促する。
こんなこと言ってても、はぐらかされるだけなのは分かってる。

「おまえが笑えばいいだろう」
ほらな。

「なーんだよーケチ」
「いきなり笑えるか。馬鹿」
「つれねー奴だなぁ。笑えば気持ちも晴れるって。な?明るく前向きに行こうぜ」
「・・・」
「笑って」
「やだ」
「笑えってば」
「・・・」


短い沈黙のあと、クラピカが声を潜めて微かに笑った。
「しつこい男は・・・嫌われるぞ、レオリオ」
口では相変わらずかわいくない事を言ってるのに、振り向き様に見せたクラピカの笑顔はやっぱりかわいくて。

「・・・何だよ、ちゃんと笑えるじゃねーかよ」
「・・・笑ってない」
「この顔の何処が笑ってないんだ?」

笑った顔も。怒った顔も。泣いた顔も。
オレはもっとおまえのことが知りたいんだ。


きっとのちのち思い知る。
オレとおまえが出会ったのは
運命ってやつなんだと。



最初はレオリオの片思い、っていう設定は結構好きです。
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