男なら誰だってそう思うだろ?
声を聴かせて
「別にオレはそんなの気にしねぇけどなあ・・・」
「おまえがよくても私が嫌なんだ!!
だいいち公衆の面前で、キ・・・」
「キス――だろ?」
真っ赤になって口ごもるその姿がかわいい。
「何でそんなに嫌なんだよ。それともオレ自体が嫌とか」
そんなにかわいい顔するから
いじめたくなる。
「そうじゃなくて・・・っ、・・・・だから・・・」
「だから?」
更に下を向くクラピカの顎を軽く持ち上げて、一気に距離を縮める。
クラピカは一瞬肩をすくませたが、思い切った様子でこう言った。
「だから・・・っ声が漏れたら恥かしいだろうっバカ!!」
一瞬の沈黙の後、オレは大爆笑。
だって・・・笑いたくもなる。
舌を絡ませると無意識に漏れてしまう微かな声や
角度を変えるときの僅かな息継ぎが――
誰かに聞こえたら恥かしいという。
おいおいそんなの、誰が聞くんだよ?
オレしかいないだろ?
「・・っ笑うな!何がおかし――」
小さな肩を抱いて、そっと唇を重ねる。
クラピカはすぐにオレを払いのけて、更に赤い顔で抗議する。
「いきなり何・・・っ、んん・・・っ」
今度は逃げられないようにきつく抱きしめて、奥まで舌を侵入させる。
クラピカの小さな声が、微かに耳に届いた。
「つまりさ・・・こういう声を聞かれんのがイヤ?」
唇を離して、悪戯に笑う。
「・・・っ・・そうだ」
「オレもおまえのあんな声、他のヤツに聞かれたくないからさ・・・
キスはこうやって――ふたりっきりでしような」
オレが笑うと、クラピカは体当たりするようにオレに抱きついてきた。
その拍子に、机の上に積み重なっていた辞書やらレポートやらが次々に落ちてくる。
ここは、試験を3日後に控えたオレの自室――
クラピカの悩みはけっこうかわいい悩みです。
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