あまりにも理不尽なことを
レオリオらしくないことを
私を打ちのめすような棘のある言葉を
見たくもない顔で、はっきりと言うレオリオを
思い切り殴り倒したいのを、拳を震わせて必死にこらえていた。

そしてレオリオが私の前からいなくなって
レオリオを失って

今までにないくらい、号泣した。







if








目覚めたとき
何も見えなかった。
涙で視界がゆがんでいた。
これまでに嫌な夢を見ることはたくさんあった。
うなされて
途中で起きることもよくあった。

しかし今朝の夢は
比べ物にならないくらい
私にはショックが大きすぎた。

いくら夢でも
一番あってほしくない現実を一度思い描いてしまったら
あんなにもはっきりと思い浮かべてしまったら


本当はまた眠るつもりだった。
まだ7時だ。
遠くはなれて暮らすレオリオを毎朝7時に起こすのが私の朝の日課だった。
そして今日も
アラームと共に悪夢から目覚め、メールを送る。

帰ってきたのは、いつもと変わらない、レオリオからの返信。
「いつもありがとな、いってきます」

それを見て少しだけホッとした。
しかしなかなか悪夢は私の中から出て行ってくれない。


体を起こし、嫌でもいろいろ考えてしまう。
私からレオリオを奪ったら
私はレオリオを失ったら
どうすればいい?
絶望なんてぬるい言葉ではきっと足りない。

今朝の夢では、レオリオは私に愛想をつかして、嫌いになって私の前から消えてしまった。


思えばレオリオのことを考えない日はなかった。
そんな私は、「2度目」の絶望から立ち直ることなんてできるのだろうか?
最初は復讐という生きる意味があった。だからこそ生きようと思えた。
レオリオがいなくなったら
生きていてもしょうがないと思ってしまうのは、仕方ない。

一度失って
大きな穴が空いて
それを埋めてくれたレオリオが与えてくれたものが大きすぎて
失ったときの反動はあまりにも大きい。
怖いのだ。

(・・・・・・なんて・・・夢だ)
改めて鮮明に悪夢を思い起こす。
頭をかち割って思考をストップさせてしまいたかった。

もう一度眠りたかった。
眠さはあった。
しかし再び悪夢と再会したくなかった。

全てを忘れたくて、外へ出た。


初夏の朝はすがすがしくて、今日は晴天だった。
雲ひとつない、綺麗な青がどこまでも続いていた。


天気がいいな、と話しかけても
それに微笑んでうなづいてくれる見慣れた顔がなければ
私の存在を認めてくれる彼がいなければ
この世の全ての「モノ」に意味がなくなる。
美しいものを美しいと思い、それを伝え、彼もそう思い、共有して初めて意味がある。

レオリオがそばにいて、私を想ってくれていなければ
全てに意味がなくなる。


そこまできてしまった。
一度出会ったしまったから。
引き返すことなんてできないくらい、私は彼を愛しすぎていた。

一体どうして
こんな夢を、見たのか・・・。






一週間すれば会える。
そして彼の変わらない笑顔を見たときには、きっとこの事は忘れている。
もしも、なんて考えたくない。


忘れたいのだ。


2009/05/26
もどる