おみやげ



仕事柄、というか、まあ一応ハンターだし、知らない国へ行くことも珍しくない。
違う文化に触れるっていうのは程よい刺激でオレは好きだ。

ちょうどクラピカと仕事場がかぶった。
新しい依頼人の本拠地が、ここらしい。クラピカも必然的にこの国に滞在することになる。
同じ時期に、同じ国。運命だろ?

合間を縫って会いに行くことにした。アイツのいる場所まではバスと電車で2時間もかからない。
その気になれば走ってだって会いに行ける。それはオレたち限定かもしれないけど。
繁華街を通り抜けようと歩いていた時のこと。
日常的にあるであろう出店の密集地。ある店先に、きらっと光る小さいものを見つけた。
目に留まり、立ち止まる。そして手にとり腰をかがめた。小さな髪飾りだった。蝶の形がかわいらしい。
店主は商品を広げたまま椅子に腰かけ、新聞に顔を突っ込んでお昼寝中のようだ。

「よおオヤジ。これくれ」
「ん・・・?ああ・・・1000ジェニーね」
うつろな目を瞬かせながら、店主は顔をあげた。
今日くらい、値切らずにいくか。
髪飾りをポケットに静かに忍ばせて、待ち合わせ場所へ急いだ。

こんな女っぽいもの、私には似合わない。
そう言ってうつむくクラピカが目に浮かぶ。

そんなこと言わせないように、ついでにかわいい服も買ってくか。
私には似合わない。そう言いながらも、困ったように笑ってくれるだろう。





(2011 拍手御礼文)
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