怒りの鉄拳


「・・・ったく、頭くるぜ」
苛立ったまま寮に帰るハメになった。世の中クソなことばっかりだ。
ラウンジにはめずらしく真田さん一人だった。

「どうした順平、その怪我は」
「あー・・・いや、真田さんからしたらこんなのかすり傷っすよね。・・・いてて」
「まるで殴られたようだな」
「あ、正解っす」
「なんだ、ケンカか?」
「だったらいーんすけどねー」

「?」
「つーかマジ同じ男として許せないっつーか・・・。ね、真田さん!」
「なにがだ?」
「あーもう、まだムシャクシャする・・・オレ先寝ます」
「・・・!順平、なにか落ちたぞ」
「え?・・・・・・・あっ!!(回収した盗撮写真が!)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんだこれは」
「(え?怒ってる!?)いや、深い訳が」
「話してみろ」

・・・

「・・・つーわけで、馨を盗撮してたクソ野郎をボコってきた帰りだったんス」
体育の授業中の、アップの笑顔の馨。ゆかりッチと教室に入る瞬間の全身アップの馨。
遠くから撮ったらしい、廊下を急いで走ってる馨。よくもまあと思うほど。
ぶっちゃけ結構きれいにとれてるんだけど、今ここでそんな冗談めいたこと言ったらオレが殺されそうな雰囲気・・・。

「槇村には伝えたのか?」
「明日、学校で言おうかなと・・・はやく安心させてやりたいし」
「順平」
「はい?(・・・目がすわってる?)」
「ソイツのところへ案内しろ」
「・・・って、今からすか?!」
「ああ」

「や、もうネガも回収したし、コレは明日、馨に報告したら全部処分・・・
――て、召喚器持ってどこいくんすか!ダメっすよ、外でペルソナ呼んじゃあ!」
「俺の拳で半殺しにするだけでは気が済まん。カエサルの電撃で黒焦げにしてやる」
「・・・!(ほ、本気の目だ・・・こえぇ)」

「・・・ったく、これだからアイツは目が離せないんだ・・・」
「・・・真田さん、あれ?もしかして・・・」
「よし、行くぞ。案内しろ」
「・・・ハイ(やっぱ行くんすね・・・)」

2011/08/10
コミュの中で、主人公のために盗撮犯をとっちめてくれる順平に一瞬ときめいてしまいました。 思わせぶりが上手な順平。