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春よ来い


なんだかんだ言って、3人でいると恋愛話になるのは、やっぱり「相手」がいるからだよね?



「あ、馨ー!おはよー」
「理緒!おはよー。あ!結子も一緒だ」
校門前で理緒、結子と会った。今日は始業式。

「あー、もううちらも3年かー。はやいね」
「はやいはやい。てかクラス!気になるなー」
「ふつう2,3年のクラスってそのままなのにね。なんでうちは変わるんだろ」
「でもさ、理緒、友近と同じクラスになれたらいいね」
「・・・え?!や、別に、今更って気するし・・・」
「そういう結子も、宮本君と一緒だったらいいよね」
「えー?勘弁してよ、卒業までアイツの面倒見るなんてさー」

なぜかこの3人でいると会話に花が咲く。馨にとっては数少ないガールズトークの場所だった。

「――あれ?馨、ピアス開けたんだ」
「ほんとだー、かわいい!」
「まさか、彼氏とか?」
自然すぎるノリで、結子が聞いてきた。
「うん」
「へー、やっぱり・・・、―――え?!」

うっかり聞き流して終わるところだった。
「ちょ、初耳!!初耳だよ!」
「あれ、そうだっけ」
「そ、そういやあ・・・ホラ、理緒、去年の合宿の時。馨、たしか・・・」
「うん。真田先輩」

八十稲羽での夏合宿。みんなでお泊りといえば、告白大会。その時確かに馨は言っていた。
「馨は?好きな人とかいないの?」
「んー、真田先輩!」
「なるほどねー!でも競争率高いよねー」
馨が真田先輩が好きなことを、特に不思議とも思わなかった。同じ寮に住んでいるわけだし、相手が相手だし。

「・・・す、すごいじゃん」
「へ?」
「だってあの真田先輩でしょ?もう月高にはいないけどさ・・・ファンクラブだってまだ消滅してないらしいし」
「へー、ファンクラブなんてあったんだ」
「てか理緒あんた知らなかったの?どんだけ疎いのよ・・・。あ、ちなみに真田先輩だとデートとかどこ行くの?」
「んー、海牛とかー、はがくれとかー、ランニングとかー、スポーツジムとか」
「・・・・・・・(牛丼にラーメンにトレーニング・・・?)」

「あ、ほらもうこんな時間だよ!いこー!」

馨は慌てて走り出した。いつもと変わりなく。
あの真田先輩と付き合うことを、自慢するでもなく、優越感に浸るでもなく。
「きのうの時価ネットたなかで超いい買い物しちゃった」的な軽いノリで彼氏持ち宣言。
それに、私たちが聞かなければ話すつもりなどなかったのだろう。

(・・・ま、確かに、そこがあの子のいいところかもなあ)

馨はいろんな意味ですごい。大人だよなあ。結子は一人、納得した。

2011/08/12