恋愛向上委員会


「やー、それにしてもほんっと真田センパイってカッコイイよなー」
「こないだの練習試合、だろ?」
「全部KO勝ちだぜ?もうレベルが違うっつか」
「ボクシング部入ってよかったよなー」
「まあ、女の子にモテるスキルは身につかなかったけどな・・・」
「・・・」
「・・・」
「情けねーぞ俺ら!」
「そ、そーだよな。センパイを見習おうぜ。より取り見取りの選びたい放題なのに、あの硬派さ!」
「痺れるよなー、普通あんなにモテたらチャラくなりそうだけど」
「そこがすげーよなー。どんなかわいい子でもシカトだもんな」
「俺が女だったら、一遍先輩に抱かれてーな」
「うわっ!おまえ何言ってんの!?」
「はは、じょーだんじょーだん」
「たく・・・」
「あれ、部室の鍵開いてる」
「マジで?こんな時間に?」
「お化けじゃね」
「あー、忘れ物なんかするんじゃなかった」
「・・・、しかもなんか聞こえね?」
「や、やめろよ」
「おまえ行けよ」
「なっ」
「ほら!」
「ちょ、お、押すなよ!」

ガラッ

「・・・」
「・・・」
「きっ、」
「う」

「きゃああああああああ!!」
「うわああああああ!!??」

「えっ、や、あの、えと、お邪魔しましたァ!」
「ち、違うの!誤解!別にまだ何もしてな」
「なんだおまえたち、帰ったんじゃ」
「わ、忘れ物を」
「ああこれか」
「お、俺らマジ何も見てないっすから!」
「お構いなく!じゃ!」

ダダダダ

「はあ・・・・はあ・・」
「・・・、お化けじゃなかったな」
「ああ、お化けじゃなかった」

「・・・先輩だったな」
「ああ、先輩だった」

「・・・あと、馨ちゃんいたな」
「ああ、校内のアイドルが」

「・・・」
「・・・」

「迫ってたな」
「ああ、迫ってた」
「抱きしめる寸前だったな」
「むしろキス寸前だったな」

「そういや二人って付き合ってたよな」
「え、そうなの」
「噂」
「へえ・・・」

「先輩って、硬派だったよな」
「ああ、筋金入りの」

「あんな風になっちゃうんだな」
「でも、あんなとこ見られてもあの落着きようはすごいよな」
「ああ。不動心ってやつか」
「やっぱすげぇな真田先輩」
「ああ、すげぇな。男の鏡だ」
「・・・」
「・・・」
「ちょ、ちょっと戻らねえ?」
「はっ!?」
「気になる」
「馬鹿!ボコられて殺されるぞ、知ってんだろ、あの人の一撃の重さを」
「だっておまえ気になんねえの?校内のアイドルのあんな姿とかこんな姿とか」
「うっ」
「汗臭い部室がラブホにしか見えなかったぜ」
「レベル高い二人だからだろ」
「よし!行くぞ」
「ちょ、俺まだ死にたくねーよ!?」


「・・・、いない・・・!!」
「まあそうだろうな」
「どこ行ったんだ!」
「続きは部屋でってオチじゃね」
「なんだと!甘酸っぱい高校生は最後まで学校内でするものだぞ」
「イタイ妄想すんな」
「それにしても馨ちゃんのあんな顔見ちゃったからなあ」
「一瞬だったけどな」
「あれは反則だよなあ」
「あんな顔させられる先輩もすげぇよな」
「硬派に見せかけてあれはないだろー、クソ」
「女はギャップに弱いかんなー」
「あー、俺も彼女欲しいよ」
「やりたいだけだろ」
「女の子とやりたくない男なんているか!?」
「開き直った」
「卒業までには童貞卒業してぇんだよー」
「ご愁傷様」
「まだ1年以上あるっつの!」
「おまえみたいなのに限って、本番になると緊張してなにもできなくなるんだよなー」
「んだとコラ!」
「それでいて人一倍純情だしね」
「・・・もういいよ、それで」
「ま、今はいいじゃん。ボクシング楽しいし」
「そーだな。煩悩をスポーツで紛らわすなんて、俺ら超健全」
「ほんとだな!」
「その点先輩はぜいたくすぎるぜ。ちくしょー、よりによって校内のアイドルかよ」
「また振出しに戻るのかよ」

2011/11/24
私は真田先輩をひどく誤解している気がしてならないのですが。