ライバル
日本大好き!
でも、そんな日本で、日本より大好きな人ができました。
コンニチハ、拙者、アンドレ・ローラン・ジャン・ジェラールト申シマス。
フランスカラ日本ヘ留学中ディス!ファッション同好会二燃エテマス。
「ベベ」呼ンデクダサイ!
”読ミヤスサ”重視ノタメ、以下ガンバッテ、片言卒業シマス。
・・・
馨殿が同好会に入ってくれたおかげで、なんだか毎日が楽しいデス。
最初のころは、異国のこの地が不安で仕方なかった。
でも、馨殿いっしょにいてくれるおかげで、べべも友達増えてきた。
だから拙者、馨殿大好きデス。
馨殿が拙者に教えてくれた、”日本流の別れの挨拶”・・・「愛シテマス」。
拙者、コレ言うたび胸が苦しい。
明日は同好会の活動日でゴザル。
馨殿、スゴク忙しい。
だから、独り占めできない。
昼休み、たまたま馨殿のクラスの前を通った。
ワオ!ここで会ったが百年目!前から馨殿が歩いてきた!
「馨殿ー!!」
「あ、ベベ!どうしたの?移動教室?」
馨殿は拙者に気づくと、いつものように笑顔で名前呼んでくれた。
馨殿、いつも笑ってる。スゴクうれしい。
・・・でも。馨殿の隣には、見たことある人がいた。
「・・・モシヤ、拳の侍、真田殿!?」
「拳の侍・・・?」
「拙者、べべ申シマス。真田殿、学校デ一番強イ!オ会イデキテ光栄デゴザル!」
「ああ、同好会の留学生か。槇村がいつも話してるよ。よろしくな、ベベ」
真田殿、近くで見るとカッコイイ!
・・・って、馨殿、拙者のこと話してくれてた!?うれしい!
「先輩!ベベね、すごくセンスいいの!」
「おまえとは違うってわけか」
「!!」
「冗談だ」
うれしかった。でも、悲しくなった。
馨殿を見る真田殿の表情が、拙者と同じだったから。
「・・・真田殿ハ、馨殿愛シテマス?」
「・・・なっ?い、いきなり何を」
真田殿、顔真っ赤になった。
・・・”ベベも、馨殿愛シテル”。
言えなかった。
「・・・馨殿!明日ハ家庭科室クル?」
「うん行く!ベベの着物、もう少しでできるでしょ?」
馨殿、やさしい。自分で作ってるマフラーより、拙者の着物の方気にかけてくれてる。
その笑顔、見るの、少しつらかった。
「・・・デハ、拙者遅刻スル故オイトマシマス!」
「じゃああしたね!」
次の日の同好会、馨殿ちゃんと来てくれた。
馨殿は鮮やかなオレンジの、あたたかそうなマフラーを作ってる。
「馨殿。そのマフラー、プレゼント?」
「んー、そうだね、誰かにあげようかな」
「馨殿の気持ち詰まったマフラー・・・もらう人、ウラヤマーデス・・・。
真田殿がウラヤマーデス」
「・・・」
馨殿は少し微笑んだだけで、何も言わなかった。
きっと拙者の気持ちに気づいている。
だから真田殿にあげる、言わなかった。
拙者ノ初恋、前途多難デゴザル。
武士ノ情ケ、通用シソウニナイ。
2011/08/08
ゲーム中でも、べべは馨が大好きです。そんなベベがかわいすぎる。