決死の戦い 01


ある日曜の朝、寮のラウンジ・・・

「なんなんですかこの集まり」
「メンツを見ればわかるだろ」
「・・・S.E.E.Sの男性陣ですか?」
「順平がいないだろ」
「仲間はずれですか?」
「アイツにはちゃんと"いる"だろうが」
「!そういうことですね」
「てことで今日こそ決着つけようじゃねえか」
「誰が一番馨にふさわしいかをな」
「アキ!てめ、なれなれしく名前呼んでんじゃねーよ!」
「そうですよ!まったくこれだから大人は嫌いです」
「天田・・・おまえのほうこそ子供だってことを逆手に取ってるじゃないか」
「・・・う」
「そうだ。オレぁ知ってんぞ。おまえ夜中にアイツとメシ食いに行ってんだろ」
「そ、それは馨さんが誘ってくれたんです!それに、二人は馨さんと学校で一緒にいられる分僕より全然有利じゃないですか」
「それを言うならオレだって学校サボってるから寮の中でしかアイツと会えねぇ。てことでアキ、おまえが一番抜け駆け者だ」
「チャンスを存分に生かすのだって戦略のうちだ」
「ぼ、僕だって!僕だって、自慢じゃないですけど、修学旅行のおみやげ、僕にだけ買ってきてくれたんですよ」
「!!なんだと・・・。なかなかやるじゃねえか」
「馨さんがくれたお守り、肌身離さず持ってますから」
「馨は誰にでも優しいからな」
「なんですかその言い方。まるで僕が弟扱いされてるみたいじゃないですか?」
「ったくおまえらヌルいな」
「さっきから偉そうだなアキ」
「おそらくオレは誰も知らない馨を知ってる」
「なんだと?!ナマ言ってんじゃねえぞ」
「そうですよ!いい加減にしてください。確かに馨さんと一番長くいるのは真田さんかもしれないですけど、愛は時間じゃないです」
「おお、おまえいいこと言うな」
「ふっ、よく聞けよ。オレと馨は(シャドウの精神攻撃を食らった影響だけど)ラ○ホの部屋で一緒に過ごした仲だぞ!」
「「・・・・・・!!!!!(両者ショックで声が出ない)」」
「あの時は情けなく動揺しっぱなしだったがな・・・」
「・・・真田さん・・・汚すぎますよ。こともあろうかシャドウを利用してまで」
「アキ・・・おまえそんな卑怯な手を使うようになっちまったのか」
「な、なんだその目は」
「ま、どっちみち決めるのは馨さんです。あの日まで待ちましょう」
「!クリスマスか」
「放課後、誰と過ごすかは馨さんが決めることですから」
「クリスマスか・・・ケーキにディナーに料理攻撃ってのもアリだな」
「そうかシンジにはその手があったか・・・クソッ」
「あ!馨さん!!」
「なにっ」

馨がゆかりとともにラウンジに降りてきた・・・

「あれ?どしたのみんな朝っぱらから」
「あの!馨さん!今から僕とお出かけしません?初等部の近くに、馨さんが好きそうなかわいいカフェできたんですよ!」
「天田!おまえ卑怯だぞ!しかも小学生のくせしてカフェとか言ってんじゃねえ」
「どこがですか!どこから見ても正攻法じゃないですか」
「・・・馨、おまえこないだオレの作ったオムライス食べたいって言ってたよな。今日の昼メシでいいだろ?スーパーに買い物つきあえ」
「シンジ!おまえまで・・・っ、ま、槇村!(←恥ずかしくて名前呼べない)今日は天気がいいからオレのトレーニングに付き合わないか?」

「んー・・・ゴメン、今日はゆかりとデートなんだ」
「!!!!」
「馨ー?どしたの、早く行こうよ」
「あ、うん!」

バタバタ・・・・

「・・・・夜だ!まだ夜がある」
「そ、そうですねさすがにそれまでには帰ってきますよ」
「子どもは早めに寝ろよ」
「子どもっていうのやめてください!」

着替えを済ませた順平がラウンジに降りてきた・・・

「・・・アレ、どしたんですか?先輩たち集まっちゃって。天田も早起きだなオイ」
「あ、順平さん」
「おまえこそどうした、順平。いつもなら寝てる時間だろ」
「あ、聞いちゃいます?今日はー、チドリンに会いに行くんっすよ!
チドリンたら、明日も会いたいなんて言うもんだからッ♪」
「・・・・・・」
「じゃ、いってきまーす」
バタバタ・・・

「・・・いいですね」
「ああ」
「とっとと来い・・・クリスマス」

・・・


「ねー、馨」
「ん?」
「馨は彼氏とかつくらないの?」
「なにいきなりー」
「・・・なんだか3人が不憫でさ」
「え?」
「じゃあさ好きな人とかは?いないの?」
「そーいうゆかりは?」
「あ、あたし!?あたしはいいじゃん!」
「んー・・・、ゆかりには、言っとこうかな」
「え、マジ?いるの?」
「な、内緒だよ!あのね・・・」

・・・・


その日の夜・・・

「あ、ゆかりちゃん、おかえりなさい」
「ただいまー・・・」
「?どうしたの、つかれてるみたい。あれ?馨ちゃんは一緒じゃなかったの?」
「・・・天田君と真田先輩と荒垣先輩と出かけたよ」
「ず、ずいぶん大所帯だね」
「決着つかなかったみたいだし」
「決着・・・?」
「てかさあ、競争率高すぎだっつの!」
「え?え?」
「生徒会の小田桐くんでしょ?あとあの留学生・・・多分もっといるな」
「何の話?」
「風花は馨好き?」
「あ、うん、そりゃあ・・・」
「・・・ったく、真田先輩も幸せ者だよねー」
「・・・?」

・・・・・

その頃、夜のはがくれ・・・

「特製4つで」
「あいよ!特製4つ!」
「なーんか変な感じ!こうやって大勢で来るなんて」
「僕ここ初めてです」
「そうなんだ?あたしはいつも真田先輩とくるよ。ね、先輩!」
「「!!!」」
「ああ、そうだな(・・・勝ったな)」
「あ、あとは順平ともよく来るなー」
「「「(・・・まさかの!?)」」」
「あ!来た来たおいしそう〜!いただきまーす!」

しばらく決着はつきそうにない・・・。

2011/08/08
ここまで男女問わずモテる女主っていったい何者(笑