どうしようもない
「今なら先制できます!敵5体!」
先頭を切って走る馨は、先制するのが得意だった。それは薙刀を使いこなせている証拠である。
最初の頃は、それはひどかった。先制どころか戦闘の度にピンチである。
だがそれも、本当に最初だけだった。この適応力と応用力はさすがリーダーである。
「よし!――サキュバス!」
敵は一気に悩殺状態になった。やはりバステブースタはあなどれない。
これでだいぶ有利になる。
最近の馨は状態異常攻撃にはまっている。
おそらく自分なりにベストな戦略を考えているのだろう。
この前までは、呪殺系魔法で一気に片す、という作戦を実施していた。
もちろん戦闘パーティは天田とコロマルである。
フロアの敵の特徴に左右されるが、結果としてはそれなりにうまくいったらしい。
しかし馨の考える作戦で、実際戦いやすくなったのは事実だ。無理もリスクも最低限になる。
「よっしゃ!いっけぇヘルメス!」
このチャンスをものにしない手はない。順平は得意の全体物理攻撃を繰り出そうとした。
・・・が。
「真田先輩が魅了されてます!あっ、ダメです!順平君、よけて!」
>真田は味方に牙をむいた!
「なっ・・・っ!!ぶっ」
風花の必死のアナライズと同時に、順平は真田の拳に吹っ飛ばされた。
「いってぇーっ!」
「ちょ、順平!なにクリティカルもらってんのよ!」
ゆかりはすぐさま順平にディアラマをかける。
・・・敵が悩殺状態で助かった。不意を突かれる心配はない。
「馨ー!あんたなんで味方を悩殺してんのよ!」
「えっ、あたしのせいー!?」
「・・・つか、真田サンがあんなにアホだったとは・・・」
>真田はメロメロだ!
「あーもう!ったく彼女のパンチラくらいでなに悩殺されてんのよ!SPもったいないっつの!――イオ!」
>真田は立ち直った!
「・・・ん、俺はいったい」
「覚えてない!?あー腹立つ!・・・こうなったら無理やり総攻撃チャンス!いくよ!」
「お、おう!」
「??」
「シャドウの殲滅、確認しました!」
「・・・ふぅ」
「ゆ、ゆかりっちさー、満月近いからってあんまプリプリすんなよー」
「は!?」
「・・・ゴメン」
「どうした岳羽、カルシウムが足りないんじゃないのか。それともヤケクソのままか?ディスブルトならここに」
「・・・!!!!」
それからしばらく、リーダーには魅了禁止令が出された。
2011/10/16
あ、あのパンチラ未遂は卑怯だ!