よくわからないが、君は信じられる気がする。




束の間の休息





「試験に落ちたくなきゃ、飛行船の中でも気を抜かないことだ」

鋭い目つきでそう言ったトンパに、レオリオは疑う様子もなく素直に礼を言った。
・・・まさか君、本気で信じているんじゃあるまいな。
とは言わず、私もとりあえずレオリオに同調した。「肝に銘じておこう」と。

その夜。
私たちは自然と隣同士で休むことになった。
それは必然だし偶然だ。今更離れる理由はないし、だからといって一緒にいる理由もない。
まあ、要はどうでもいいんだ。

それにしても。
(船上での試験か・・・ありえないな)
小さく息をついて毛布に手を入れる。
本当にここで試験をやるならば、協会側は「自由に過ごせ」ではなく「待機しろ」と言うはずだ。
それにどうもあのトンパという男は信用ならない。
かといってゴンやレオリオに絶大の信用を置けるという理由にはならないが。
少なくとも、私はある一定以上の信用を置いているからこうして隣にいるのだ。
そうか、理由を上げるとすればそれだな。信用だ。
少なくとも、一次試験でレオリオが私に話してくれたことは嘘だとは思えない。
私が本当のことを話したように、レオリオもそうしたのだろう。十分信用に値する男だ。
簡単に人を信用するな、といつも言い聞かせているのだが。私もまだまだ甘いということだろうか。

ふと隣を見た。・・・まあ、想像通りだ。
レオリオは体を休めることに全力を注いでいた。つまりは爆睡だ。
それを見て小さくため息をつくのと同時に笑みもこぼれた。
まったく、どうしてこんな隙だらけの男のそばにいられるのか、自分でも不思議だ。
まあ、今くらいはいいだろう。と思ったのだが。
「・・・・んん〜」
「・・・!!、お、おい、レオリオ!」
壁に寄りかかっていたレオリオは寝返りを打つ要領で私に寄りかかってきた。
お、重い・・・!
本気を出せば投げ飛ばすくらいはできるのだが、悪気はないのだろうし、私もそこまで鬼じゃない。
幸い圧迫されているのは肺ではなく肩なので、このまま寝ても寝付けないことはないだろう。
・・・仕方ない。

「今日だけだからな」

あいている方の手を伸ばしてレオリオの毛布を掛け直してやった。
人の体温を感じながら眠りにつくなんて、何年振りだろうな。

不思議だ、生死をかけた試験の最中だというのに
なんだかいい夢が見れそうだ。




新アニメ7話のワンシーンに妄想を加えました。これだからレオクラ好きなんだよな!!
実際に寄り添いながら寝てるくらいのサービスカットをしてほしかったです(笑)
2011/11/13

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