オレは多分
どこにでもいる普通の医大生で
アイツも多分
ちょっと変わってるけど普通の女子高生で
それでも普通じゃありえない、同棲生活をする。
更に有り得ないのが
お互いが恋に落ちるということ。
この街で君と暮らしたい 01
アパートを借りたら女の子がついてきた。
もちろん契約書にそんなことは書いていなかったけれど。
かといって、誘拐とか監禁とか、そういうんじゃない。
そこんとこを誤解しないでほしい。
「キミ学生でしょ?へぇ〜、医大生!すごいねー。将来はお医者さんかぁ。
じゃあ、なおさらお金必要でしょ?今なら家賃半分だから!」
まだ新しい・・・・・が、六畳一間の典型的なアパートの大家のその言葉に、オレの心は大きく揺れ動いた。
もちろんそんな馬鹿な話、信じられやしない。家賃半分なんて、一体どこの国の話だ。
どうせ幽霊がでるとか、床が抜け落ちてるとか、そんなところだろう――が。
バイトで生計を立てる苦学生にとって、家賃だけでもバカにならない。
しかも。「ちなみに光熱費や契約金も半分でいいよ」
・・・そんなオイシイ話、あるわけないと思いつつ。
「・・マ、マジっすか?」
「マジだよ」
ということは、生活費の半分を学費に使える・・・。
おもむろに差し出された契約書。すぐさま名前を書いて、ハンコを押して。
――なんとも簡単に契約完了。
「・・・あ、そうだ。条件ってなんだよ?大家のおっさん」
鍵を受け取って、大家の後をついていく。向かうは202号室。
家賃半分の、条件。それなりの覚悟はしていたが、あえて軽く聞いてみた。
「あぁ、そんな難しいことじゃないよ」
階段を上って、廊下を歩いて。鍵を開けて、中へ入る。
「この娘といっしょに暮らしてもらうだけだから」
――オレの、トンデモナイ同棲生活の始まりだった。
つづく