輝ける星 07
私はどうしたんだろう。
真田先輩は、私にどうしてほしいんだろう?
献身的にするのは得意だった。
私が何かをすることで人が笑ってくれるのが何よりも嬉しかった。
けど、真田先輩が私に何を求めているのか、見当もつかなかった。
そういう考え自体がずれてるって、前に言われた。
しょうがないじゃない。欲しがったって、手に入れたって、どうせすぐになくなるんだから。
少し肌寒い放課後、先輩に連れられて神社にやってきた。
この間から、極端に会話が少なくなった。
誰もいない静かな神社で、弱い風が吹く中、先輩はあることを私に話してくれた。
失ってしまった妹のことを。
「生きてることが・・・罪だとでも言うのか?」
それまで顔を見せてくれなかったけど、その時見えたのは、確かに涙だった。
すぐ風に吹かれていってしまいそうな、一粒だけの涙。
流さなかったのは、彼の強がりだったんだと思う。
「おまえに、話したかった」
突風に目を閉じた後には、先輩の顔はもういつも通りだった。
ううん、少しだけ、目が赤かった。
「俺はひょっとしたら、おまえに美紀を重ねているのかもしれない・・・」
先輩は目を細めて静かにそう言った。
つらそうに眉をひそめて。
その言葉に、すべてわかったような気がした。
時々見せた、あのさみしげな顔は、私に美紀ちゃんを見ていたから。
心配してくれたのも、気にしてくれたのも、私を妹のように見ていたから。
それを今の今まで言わなかったのは、私のためだ。――きっと。
つらいことを知っていると、その分人はやさしくなれる。
それは弱さとは違う。
あのやさしさも笑顔も、ぜんぶ本物だった。
ああ、なんだ。だから私、こんなに先輩のこと――
すきだったんだ。
今更だった。一人の男の人としてすきになったんだ。
けれど、先輩はそうじゃない。妹として私を好きなんだ。
それ以上なんて、その先なんてない。
恋なんて面倒くさい。
わかってたのに止められなかった。
そして今度は自分が傷ついた。