オレ、嫌なんだよね。
レール敷かれた人生ってやつ。







青春生き残りゲーム 7







4月下旬、なんと転校生がやってきた。
入学早々、だ。


「今日は転校生を紹介します。みなさん仲良くしてくださいね。キルア君、入っておいで」
言い忘れていたが、オレたちの担任はサトツ先生という。
なんだかつかみどころがなく絡みづらい。

入ってきたのは意外なやつだった。
まず背が低い。ゴンと同じくらいだ。
オレはとっさに前の席のゴンを見る。

相変わらずゴンはわくわくしている。

そしてゴンと同じくらい、童顔だ。
やっぱこの学校、少しおかしい。
金とコネがあれば、小学生でも入学できるんじゃねえのか。


「さ、自己紹介を」
教壇の上に立ったソイツはつまらなそうに目を細めて口を開いた。
「・・・キルアです。得意技は心臓をえぐり取ることです」

「!!!」
「はっはっは、なるほど。では専門分野で惜しみなく発揮してくださいね。キルア君の席はあそこ」
「はい」


サトツ先生
いろんな意味で
さすがだ。



キルアはあの問題発言で浮いていた。
もっとも彼自身も一人の方がいいといわんばかりのオーラを出していた。
どっかの誰かさんのように。
なあクラピカ。



「ねーねー!キルアはどーして転校してきたの?」
休み時間になると同時に、ゴンは後ろの席のキルアに満開の笑顔で話しかけた。
キルアは足を組んでつまらなそうにガムをかんでいる。

「べっつに、ケンカしただけさ」
「ケンカ?」
「ちょっとムカつく奴がいて、半殺しにしただけだっつーのに、追い出された。マジありえねー」


あ、ありえねーのはおめーだよ!!


二人の会話に聞き耳を立てていたクラスの連中は、密かに同時にそうつっこんだに違いない。
・・・オレもだ。


「ふーん。あっ、このガム、すごいおっきい風船ガムが作れるガムじゃん!いーなーちょうだい!」
「はぁ?ばーか、やだよ」
「えーいいじゃん!コレちょっと高いから買えないんだよ」
「・・・じゃーその釣り竿貸してくれたらな」
「え?コレ?」
「そ。」
「いいよ、じゃー校庭いこ!」


この学校に、また妙なヤツが増えてしまった・・・。







翌日、キルアはゴンと共に登校してきた。
クラピカとゴンは仲が良く、ゴンはキルアと仲良くなりつつある。
かくいうオレも、なんだかんだでクラピカの隣にいることが多いので(よく授業のノートを見せてもらう)、
必然と4人でいることが多くなる。


近くにいるうちに、キルアの実家が暗殺一家であること、
この機会に社会勉強をしてこいと全寮制のこの学校に放り込まれたこと、(父親のこの案に、母親は大反対したそうだ)
その他いろいろ耳に入ってきた。


そしてオレは改めて思っちまう。
キルアといい
ヒソカといい
この学校はやっぱ変だって。



2011/5/18
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